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「暗殺」(柴田哲孝)を読んで

読書の感想です。
*極力ネタバレしない範囲で、個人的感想や感じたことを書いていきます。

やけやま不動産、代表の甲斐です。

暗殺」(柴田哲孝)を読みました。

感想

本書の冒頭に「この物語はフィクションである」とありますが、過去の事件や故人、日付などはそのまま用いられいますので、事実が書かれているのではないかと錯覚してしまいます。

私は2022年7月当時、速報で事件を知り、その後もニュースやインターネット通じて事件の情報を断片的に得ながら、いくつもの点で疑問を感じていたことを思い出しました。

SNSやYouTubeの映像を見て、犯人が撃ったとされる弾丸の軌道と、元首相が受けた傷の状況が合わず、病院と警察の見解の相違や、警備の手薄さなどから、単独犯説に疑問を感じていました。

しかし、当時は参議院議員選挙中、コロナ禍でもあり、その後の国葬義の問題、旧統一教会との関係が明るみになって、次々と目の前に出てくる新たな問題に注目し、次第に事件そのもののおかしさを忘れていました。

それらは仕組まれ、興味を逸らされ、誘導されていたのだとすれば、本書を読まなければ、あのおかしさを改めて考えることはなかったのだと思いゾッとしました。

本書は、あのとき私が感じた疑問を晴らすヒントや、表には絶対に出ない事件の経緯や首謀者や思惑がフィクションとして書かれています。

仮名ではありますが、モデルとなる実在の団体や人物が散りばめられ、筆者の調査力や読みものとしてまとめる力とこの本を世に出す勇気に敬服しました。

なぜ、奈良県立医科大と奈良県警の見解が異なっているかについても興味深く、事件の混乱の中で、急遽、予定になかったドクターヘリが呼ばれたことによって、息のかかった病院への搬送する予定が狂い、医科大の客観的に事実を診断してしまったという描写に、もしそうであれば、見解の相違への疑問が晴れる気がしました。

また、「令和」という元号について触れられており、ニュースでは万葉集がどうとかいう話もありましたが、律令と「令」と和人の「和」であるとし、日本人を縛るのだと解釈すれば、その意味が大きく変わってきます。

それは一見解釈だけの問題のようにも感じますが、その意味を深く捉える者もあり、その解釈は悲劇を生むのだという思考は私には全くなかったという点に、私自身の無知と思考の浅さを痛感しました。

しかし元号は確実に存在し、私はただ令和という時代を生きるしかないという状況であることを再認識しました。

そう考えたとき、政治家の闘争や私利私欲、信条など、私にとっては、一見関係がないようにも思えますが、結局それらは社会に反映され、私はそれに巻き込まれながら、その中で生きることしかできない無力さを感じました。

あの暗殺事件の犯人とされる者は、私の一つ年下で、生まれて過ごしてきた時代がほぼ同じですが、家庭環境があまりに異なります。

一方で、一時海上自衛隊員として呉に所属し、同じ時期に呉にいたのだと考えれば急に身近にも感じました。

新刊でネットでも在庫が少ない状況でしたが、事件の日を迎える前に読めてよかったです。


やけやま不動産では、不動産に関すること、地域のこと、代表の日々のことについてブログ発信も行なっていますので、ご興味ありましたら、是非ご一読ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。